電子署名の法的有効性 · 日本
日本で電子署名は法的に有効?根拠法と注意点
確認済み
要点
多くの契約は電子署名で締結できます。民法上、契約は原則として方式を問わず当事者の合意で成立し、押印や紙は有効要件ではありません。電子署名法3条は、本人だけが行える電子署名がある電磁的記録を「真正に成立したもの」と推定します。一方、事業用定期借地権の設定契約や任意後見契約など公正証書が必要なもの、自筆証書遺言のように自書が必要なものは、電子署名だけでは足りません。PDFBetterでは署名者一人ひとりが自分の暗号鍵で署名し、完成したPDFはデジタル封印とタイムスタンプで保護されます。ただし本人確認を経た電子証明書による署名(当事者型)や認定認証業務による署名ではありません。
法律
適用される法律
- 2000電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法、平成12年法律第102号)
2条で電子署名を「本人が作成したことを示し、改変の有無を確認できる措置」と定義。3条は、本人による電子署名(符号・物件を適正に管理し本人だけが行えるもの)がある電磁的記録を真正に成立したものと推定します。
出典:laws.e-gov.go.jp
- 1996民事訴訟法 228条4項(平成8年法律第109号)
私文書は本人または代理人の署名または押印があるとき真正に成立したものと推定されます(いわゆる二段の推定)。電子署名法3条は、これを電磁的記録に置き換えた規定です。
出典:laws.e-gov.go.jp
- 1998電子帳簿保存法 7条(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)
所得税・法人税の保存義務者は、電子取引の取引情報を電磁的記録のまま保存しなければなりません。電子契約で交わした契約書・発注書・請求書もこの対象で、真実性と可視性の要件に沿った保存が必要です。
出典:laws.e-gov.go.jp
- 1896民法 446条・465条の6・968条(明治29年法律第89号)
保証契約は書面が必要ですが、446条3項により電磁的記録でも可。ただし事業用融資の個人保証は、契約前1か月以内の保証意思宣明公正証書が必要です(465条の6)。自筆証書遺言は全文・日付・氏名の自書と押印が必要です(968条)。
出典:laws.e-gov.go.jp
- 1991借地借家法 22条・23条(平成3年法律第90号)
一般定期借地権の特約は電磁的記録でも可(22条2項)。事業用定期借地権の設定契約は公正証書によらなければなりません(23条3項)。
出典:laws.e-gov.go.jp
- 1999
- 2020法務省「電子署名法」(2条・3条に関するQ&A)
総務省・法務省・経済産業省による2020年のQ&A。事業者が利用者の指示で署名するクラウド型サービス(立会人型)が、どのような場合に利用者の電子署名と評価され、3条の推定が及び得るかを解説しています。
出典:moj.go.jp
一般に電子署名でよいもの
- 業務委託契約書・取引基本契約書・秘密保持契約書(NDA)
- 発注書・注文請書・見積書・検収書
- 雇用契約書、労働者が希望した場合の労働条件通知書の電子交付
- 保証契約(事業用融資の個人保証を除く)
- 建物賃貸借契約書、定期建物賃貸借の書面、一般定期借地権の特約
- 宅地建物取引の重要事項説明書・37条書面(2022年5月の改正以降、相手方の承諾があるもの)
- 利用規約・申込書・同意書などの消費者向け書類
例外と追加の要件
- 公正証書が必要な契約:事業用定期借地権の設定契約、任意後見契約、事業用融資の個人保証に先立つ保証意思宣明公正証書。2025年10月から公正証書は電子データで作成できるようになりましたが、公証役場での手続は引き続き必要です
- 自筆証書遺言(全文・日付・氏名の自書と押印)、公正証書遺言などの遺言
- 婚姻届・不動産登記・商業登記など、官公庁への届出・申請(各制度が定めるオンライン手続と電子証明書を使います)
- 実印と印鑑証明書、または電子証明書付きの署名(当事者型)を相手方・金融機関・監督官庁が求める場合
実務上の注意
知っておきたいこと
署名者は一人ひとり、自分の暗号鍵で署名します。完成したPDFはすべてデジタル封印され、第三者のタイムスタンプが付き、証拠はファイル自体に埋め込まれます。署名者は署名前に電子署名への同意を行い、署名依頼ごとに送信時と完了時の文書のSHA-256ハッシュ値、閲覧・同意・署名・辞退の日時とIPアドレスをハッシュチェーン化した監査ログに記録し、完了証明書を発行します。同意の前には電子データでの受け取りについての説明をすべて表示し、紙での対応や辞退も選べます。送信者が設定すれば、署名者はメールで届くワンタイムコードを入力してから文書を開きます。署名者のブラウザは端末の外に出ないECDSA P-256の鍵を作成し、文書のSHA-256ハッシュ値と入力内容そのものを結び付けた宣言に署名します。この鍵はPDFBetterの認証局が証明し、そのフィンガープリントは完了証明書に記載されます。完了した署名済みPDFと完了証明書は「PDFBetter Document Seal」によるPAdESデジタル署名で封印され、接続できる場合はDigiCertのRFC 3161タイムスタンプも付くため、後からの変更はPDF閲覧ソフトで検出できます。証拠は完了から7年間保管します。
PDFBetterは本人確認書類やSMS・電話による本人確認を行わず、本人確認を経た電子証明書を用いる署名(当事者型の電子署名、認定認証業務による署名、EUの適格電子署名)は提供しません。署名者の確認はメールアドレス(と任意のメールのワンタイムコード)によるものです。完成したPDFの封印はPDFBetter独自の認証局の証明書によるもので、改ざんの検出には使えますが、署名者の本人性を証明するものではなく、Adobeの信頼リストにも登録されていません。それらが求められる書類、公正証書や証人が必要な書類には、対応する手続をご利用ください。
日本の商慣習ではハンコが広く使われてきましたが、法律上、押印は多くの契約で有効要件ではなく、成立の真正を示す証拠の一つです。電子署名も同じく証拠として機能します。取引先や業界の慣行で特定の方式が求められていないか、事前にご確認ください。
電子契約で交わした書類は、電子帳簿保存法の電子取引データとして保存する必要があります。PDFBetterからダウンロードした署名済みPDFと完了証明書を、検索要件などを満たす方法で保存してください。PDFBetterは電子帳簿保存法の要件への適合を認証された製品ではありません。
このページは法律の一般的な内容を公式条文へのリンクとともにまとめたもので、法律上の助言ではありません。重要な契約や特殊な書類については、弁護士などの専門家にご相談ください。
日本の電子署名:よくある質問
日本の契約にハンコ(押印)は必要ですか?
多くの契約では不要です。契約は原則として当事者の合意で成立し、押印は成立の真正を示す証拠の一つにすぎません。電子署名と監査証跡も同じように証拠として使えます。
クラウド型の電子署名サービスは電子署名法上の電子署名に当たりますか?
2020年に関係省庁が公表したQ&Aは、事業者が利用者の指示で署名する立会人型のサービスでも、利用者の意思に基づくことが明らかな場合は利用者の電子署名と評価でき、一定の要件を満たせば3条の推定が及び得るとしています。個々のサービスが当たるかは、その仕組み次第です。
PDFBetterの署名に電子署名法3条の推定は及びますか?
約束はできません。最終的には裁判所が手続全体を評価します。PDFBetterでは署名者が自分の端末の鍵で署名し、同意、文書のハッシュ値、日時・IPアドレスを含む監査ログと完了証明書が残り、完成したPDFは封印されタイムスタンプが付きます。ただし鍵の証明書は本人確認を経たものではなく、当事者型や認定認証業務による署名ではありません。推定が重要な書類では、電子証明書を用いる方式をご検討ください。
電子契約にした契約書はどう保存すればよいですか?
法人や個人事業主は、電子帳簿保存法7条により電子取引のデータとして電子のまま保存します。改ざん防止の措置(事務処理規程など)、日付・金額・取引先で検索できる状態、画面やプリンタで確認できる状態が必要です。紙に印刷して保存するだけでは足りません。
電子署名では締結できない書類はありますか?
事業用定期借地権の設定契約や任意後見契約など公正証書が必要な契約、事業用融資の個人保証の前提となる保証意思宣明公正証書、自筆証書遺言、官公庁への届出・登記などです。
雇用契約書や労働条件通知書は電子化できますか?
雇用契約書は電子署名で締結できます。労働条件通知書は、労働者が希望した場合に電子メールなどで交付でき、労働者が出力して書面にできる形式である必要があります。

